しっかり者の 落とし穴 1
「甘えの構造」という本がある。
東京大学精神学教授の土居健郎氏のの著書である。
私が、保健婦学校の学生の頃に、紹介されて読み出した書籍で、続編やら、その解説本を含めるとかなり、たくさんの冊数になる。
著者の土居氏は、
「甘え」は日本人の日常生活にしばしば見られる感情だが、著者は外国にはそれに対応する適切な語彙がないことに気づいた。そんな自身のカルチャーショックから洞察を重ね、フロイトの精神分析、ベネディクトの『菊と刀』、サピア・ウォーフの文化言語論などを比較検討し、「甘え」理論を構築、人間心理の本質を丹念に追究した。
「甘え」は「つきはなされてしまうことを否定し、接近欲求を含み、分離する感情を別のよりよい方法で解決しようとすること」と定義される。
と定義して、書き進めている。
この書物は、読み応えがあり、なかなか、興味をそそるのだけれども
それ以上に
私が、保健婦学校の 教育心理学で学んだことは、
「甘えることの出来ない しっかり者に注意しなさいよ。」
と説いた教授の言葉だった。
手のかかる子供は、やっかいだけれども
だだをこねて、人を手こずらせる。
それなりに、生きるすべを学んでいる。
人を困らせながら、誰かに助けてもらう 術を獲得していく。